蒲田で堪能する天然温泉&高濃度炭酸泉(改正湯・はすぬま温泉)
全国炭酸泉めぐり
vol.3
高い血行促進効果により、冷え・肩こり・腰痛をやわらげ、新陳代謝アップ(ターンオーバー促進)・細胞修復(アンチエイジング)など、多くの効果が期待できるとされている入浴。
なかでも「高濃度炭酸泉」と呼ばれる濃度(ppm)が高い炭酸泉に入浴すると、からだへのよい効果も高まるとされており、ヨーロッパでも古くから知られており、多くの方が利用しています。
「全国炭酸泉めぐり」では、高濃度炭酸泉を手軽に楽しめる入浴施設をめぐり、入浴した感想をレポート。3回目は、天然温泉で炭酸泉を楽しめる、東京都大田区の銭湯をめぐります。
大田区ならではの「黒湯」の効能は?
「黒湯」とは、土壌に堆積した大昔の植物などが「褐色有機物(フミン酸)」となり、それが源泉に溶け、お湯に黒い色がついた温泉のこと。
とろみのあるやわらかいお湯で、ここちよく入浴できるのも黒湯の特長。古くなった角質を柔軟にし、つるつるすべすべの肌に導く効果なども期待できます。
今回訪れた大田区は、都内屈指の銭湯激戦区。天然温泉を有する施設(黒湯以外の温泉もあります)が区内に14軒もあり、その数の多さから「大田区温泉郷」とも呼ばれているのだそう。さまざまな泉質の湯めぐりを楽しめるなんて、まさに「温泉郷」。
そんな大田区温泉郷のなかから、「改正湯」と「はすぬま温泉」を紹介します。
黒湯炭酸泉の元祖「改正湯」
昭和4年から続く老舗の銭湯「改正湯」。今では入れる施設が増えてきている「黒湯炭酸泉(黒湯などの天然温泉に炭酸を溶け込ませたお湯)」ですが、「元祖」は改正湯なのだそう。黒湯は、環境省が定義した治療目的の「療養泉」に指定されています。
代表取締役の小林千加史さんに、お風呂へのこだわりを伺いました。
「当店は『お湯で勝負』がモットー。お客さんに新しいお湯を体験してほしいという思いから、希少な『黒湯炭酸泉』をはじめました。せっかく炭酸泉を導入するなら高濃度のものを体験していただきたいので、濃度は1200~1300ppmに設定。検査をして、黒湯と炭酸泉どちらの効能もうまく作用していることもわかっています。黒湯は美肌効果以外にも、神経痛や筋肉痛、肩こりなどを和らげたり、疲労回復・健康増進効果も期待できるんです。そこに、炭酸泉の効果が加わるので、温泉のちからをより強く感じていただけると思います」(小林さん)
療養泉の黒湯+高濃度炭酸!
どんな効果が得られるのか、期待を込めて入浴してみました。
まず驚いたのが、お湯の黒さ。お湯につかるとからだがまったく見えなくなるほど黒いので、炭酸の気泡がからだに付着しているかどうか確認するのも困難なほど。でもその分、「温泉」を強く感じられます。
とろんとしたやわらかいお湯もここちよく、からだの疲れがふわ~っと溶けていくよう。39.5℃という湯温も、長湯をするのに最適でした。黒湯のよさを逃さないため、35〜37℃の設定が多いほかの炭酸泉よりも少し高めの温度設定にしているそう。
湯上り後は、額にじんわり汗をかくくらいのポカポカ感が30分程度持続し、湯冷めもしませんでした。肌がつるつる・すべすべになるので、ボディケア感覚で入浴するのもよさそう。「あ~、いい温泉に入った!」という満足感をたっぷり味わえる入浴体験でした。
毛穴の汚れを落としたり、肌にうるおいを与えたりする効果が期待できるシルク風呂も。「炭酸泉でじっくりあたたまった後にシルク風呂に入ると、より効果的です」と小林さん。
非日常空間が楽しい「はすぬま温泉」
大正ロマンをコンセプトにしたレトロなロビーに道後温泉をイメージした浴室。ステンドグラスからこぼれるやわらかな光。お風呂はもちろん、非日常を楽しめるすてきな空間も魅力の「はすぬま温泉」さん。
オーナーである近藤芳正さんに、「はすぬま温泉」で入れる炭酸泉&温泉について伺いました。
「はすぬま温泉のお湯は、珍しい薄茶色をしています。以前はもっと黒いお湯だったのですが、深くから温泉を掘ったところ、偶然薄い色の温泉が出たんです。とはいえ、成分は薄くなっているわけではありません。炭酸泉のお湯も温泉です。最近は『ランナーズ銭湯』としての利用も増えていて、ランニング後に入浴したお客さまから、『筋肉がほぐれる感じがする』『疲れがとれる』というお声をいただいています。炭酸泉の優しい泡にゆっくり浸かると酷使した体が癒やされるので、スポーツする人にもおすすめです。山間の滝をイメージした雄大なタイル絵を眺めながらゆっくり入浴して、日頃の疲れを癒してもらえたらうれしいです」(近藤さん)
※ランナーズ銭湯=ランニングステーションとしても利用できる銭湯のこと
ほどよく照明が抑えられたレトロモダンな浴室に、黄金色に輝く湯船。こんなにも趣のある空間で入る炭酸泉にテンションもアップ! 入浴してみると……
炭酸泉に入ってすぐ、全身に細かい気泡が付着。黄金色の美しいお湯はとてもまろやかで、いつまでもつかっていたくなるほど。
湯温は39℃、炭酸泉特有のじんわりした温かさなので、からだに負担をかけずじっくり入浴できました。体力を消耗したと感じず長風呂を楽しめるのも魅力です。湯上りは、すっきりリフレッシュした感覚に。浴室やロビーの雰囲気と温泉でちょっとしたトリップ気分も味わえ、充実したひと時を過ごせました。
都会にいながら、天然温泉と炭酸泉を満喫できる改正湯&はすぬま温泉。旅行に行くのが難しい今、わたしたちのこころとからだを癒してくれる、貴重なスポットになってくれそうです。
改正湯
東京都大田区西蒲田5丁目10−5 改正ビル
はすぬま温泉
東京都大田区西蒲田6丁目16−11
文:MEGLY編集部
撮影:佐坂和也
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