めぐってよかった東京23区の高濃度炭酸泉(テルマー湯・さやの湯処)
全国炭酸泉めぐり
vol.1
MEGLY編集部
日々の暮らしに「めぐり」をもたらす「暮らしに炭酸をプラス」のコーナーでは炭酸を使って暮らしを楽しくアップデートする情報をお伝えしていきます。第1回は「東京都内でめぐれる炭酸泉の入浴施設」をご紹介。炭酸泉は入浴すると肌に泡がつき、その泡がはじける感覚を楽しめるのが特徴ですが、実は身体や肌をすこやかに保つ効果が認められている温泉でもあるのです。
よく耳にするけど、実は知らない炭酸泉のこと
炭酸泉とは、二酸化炭素(炭酸ガス)が溶け込んだお湯のこと。
日本の温泉法では、お湯1リットルに炭酸ガス(二酸化炭素)が0.25g以上(250ppm)溶けたものを「炭酸泉」、お湯1リットルに炭酸ガスが1g以上(1000ppm)溶けたものを「高濃度炭酸泉」と呼んでいます。
また、炭酸泉は濃度(ppm)が高ければ高いほど身体への作用があるといわれていて、天然の高濃度炭酸泉が多く湧き出ているヨーロッパでは、医療目的でも利用されています。
炭酸泉の効果は?
海外では医療行為としても認められている炭酸泉にはどのような効果があるのでしょうか?
まず、挙げられるのは「血行促進」。炭酸ガスには、血管を拡張して血流を促す作用があるため、体内の血液循環が高まり、冷え解消、肩こり・腰痛をやわらげる、新陳代謝アップ(ターンオーバー促進)、細胞修復(アンチエイジング)などの効果が期待できます。
また炭酸泉の泡には、余分な皮脂や古い角質を除去したり、毛穴の汚れを落としたりする効果も。さらに「収れん」効果もあるため、肌のキメや髪のキューティクルが整い、健康的な肌や髪にもつながります。
そして、濃度の高い炭酸泉(高濃度炭酸泉)の方が、健康にも美容にもいいといわれています。
東京23区内で厳選!高濃度炭酸泉を体験
日本にある天然の高濃度炭酸泉は、兵庫県の「有馬温泉」、大分県の「長湯温泉」「七里田温泉」、福島県金山町の「天然サイダー温泉」などがあります。
MEGLY編集部は全国の天然温泉を調査…したいところですが、近年では「人工の高濃度炭酸泉」を設置している入浴施設も増えています。まずは、東京23区内にある2か所の入浴施設をめぐり、高濃度炭酸泉をレポート。
今回は新宿区「テルマー湯」と板橋区「さやの湯処」の2ヵ所をレポートします。
※高濃度炭酸泉は血行促進効果が高いため、10~15分程度を目安に入浴するのがベター。また、お湯が動くと炭酸ガスが抜けてしまうため、できるだけ静かに入浴しましょう。
立地&24時間営業も魅力の「新宿天然温泉 テルマー湯」
1ヵ所目は、昨今のサウナブームで人気が高まっている「新宿天然温泉 テルマー湯」さん。多種多様なお風呂を楽しめるのはもちろん、歌舞伎町という立地や24時間営業などの便利さも魅力の入浴施設です。
まずは支配人の山根将さんに、テルマー湯で入れる高濃度炭酸泉のポイントを伺いました。
「当店の高濃度炭酸泉は1100ppmで、お湯の温度は37~39℃(炭酸ガスは40℃以上になると抜けてしまう性質があるため、炭酸泉は40℃以下の『ぬる湯』が基本)となっています。また、浴室内の温度を43℃に設定しているため、お湯から出ている顔や首、肩あたりが冷えてしまう……ということも少なく、長時間快適に入浴できるんですよ。常連さんからも好評で、『肌がすべすべになる』『炭酸が身体にまとわりつく感じがする』『ピリピリと心地いい刺激を感じる』『ヨーロッパで入った炭酸泉みたいに本格的ね』などと言っていただいています。私自身も2日に1回はこの炭酸泉に入っていますが、血行がよくなったり肩こりがやわらいだりなど、体調面での効果を感じています」(山根さん)
本場ヨーロッパの炭酸泉に負けずとも劣らないという、テルマー湯の高濃度炭酸泉。実際に入浴してみると……
ものの20秒ほどで身体全体に小さい気泡がふわ~とつき、本当に「炭酸がまとわりつく」ような心地よさを感じました。身体を少し動かすと、肌についた気泡がパチパチとはじけ、その刺激もヤミツキに。
15分ほど入浴していたのですが、じわじわと身体が温まりリラックスできました。42℃程度のお風呂や温泉だと、一気に温まって心臓がドキドキしたり汗がポタポタ出てきたりしてなかなか長く入ることはできませんが、炭酸泉ならゆっくり入れるという理由がよくわかりました。また意外だったのが、お湯から出た際のすっきり感。入浴前は身体全体に重ダルさがあったのですが、それがなくなって身体がものすごく軽くなっていたんです。この爽快感はくせになる!と感じた入浴体験でした。
超高濃度の炭酸泉を体験できる「前野原温泉さやの湯処」
2ヵ所目は、板橋区志村坂上にある「さやの湯処」さん。緑豊かな眺望の露天風呂や、畳敷きのくつろぎスペースなどがあり、まるで老舗の温泉旅館のよう。
店長の吉岡隆男さんに、さやの湯処で入れる高濃度炭酸泉の魅力を教えてもらいました。
「当館の炭酸泉は1500ppmの濃度があります。ですので、お客さまの出入りで揮発してしまって一時的に炭酸ガスが抜けても、1300~1400ppmは維持できるようになっているんです。また炭酸ガスが抜けないよう、湯温は35.5℃に設定しています。私も炭酸泉が大好きで毎日入っているのですが、おすすめは『15分入浴→お湯から上がってクールダウン→15分入浴』というサイクル。じつは温泉(お風呂)って長く入っていると体力を消耗して疲れてしまうのですが、この入り方なら身体に負担をかけず、炭酸泉の効果をしっかり感じられると思いますよ。身体の芯からじっくり温まってバランスが整う感じや、コリがほぐれて寝つきがよくなる感覚を、ぜひ味わってください」(吉岡さん)
1500ppmとは、かなりの高濃度!さっそく超高濃度炭酸泉に入ってみると……
35.5℃という温度設定もあり、入浴した瞬間は確かに少しぬるいと感じました。とはいえ、冷たいとも思わず、不思議な心地よさが。
10分ほど入っていると額にじんわりと汗をかき、身体がポカポカしてきます。炭酸ガスの細かい気泡に包まれる感覚もおもしろくて新鮮。吉岡さんおすすめの入浴法を試してみましたが、のぼせることなく長時間炭酸泉に入ることができました。
また、入浴時は肩や背中がガチガチだったのですが、入浴後は痛みがやわらいだ感じが。お風呂上りは誰しも顔色がよくなったり透明感がアップしたりしますが、その効果が長時間続き、くすみのない明るい肌をキープできたのもうれしいおどろきです。冷え性の人や寒さが苦手な人、コリに悩む人にも全力でおすすめしたい!そんな炭酸泉でした。
2ヵ所の高濃度炭酸泉に入って強く感じたのは、入浴後の「イキイキ感」。血色や肌ツヤのよさといった見た目の印象だけでなく、身体全体のすっきり感や軽やかさ。さらに、リフレッシュできたり穏やかな気持ちになれたりなど、こころにもいい影響が。炭酸のチカラって、とても奥深いんだなぁと実感しました。
文/編集:MEGLY編集部
撮影:佐坂和也
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