松㟢翔平とめぐる。家好きだからこそあえて「公園」に行く理由
あの人とめぐる。心も身体もめぐる場所
vol.1
こころやからだがめぐる、とはどんな状態なのでしょう? 場所やまわりの人との関係性、自分のライフスタイル、様々なものが偶発的にめぐり合って、こころやからだの動きを作っていくのではないでしょうか。
今回、MEGLYのWEB CMにも出演している俳優・モデルの松㟢翔平さんが、めぐりを感じたりありのままの自分に戻れたりするような場所として駒沢公園を紹介。ゲームが趣味で家にいるのが好きだという松㟢さんが公園という場所を大事にしている理由や、「パワースポット」と呼ぶ友人との出会い、日本と台湾での二拠点生活、「飽きない」ことを大事にしている松㟢さん流のセルフケアやめぐりについての考え方など、盛りだくさんにお伺いしました。
「何もしなくてもいいし、何か思いついたらすぐ動ける公園にいるのかもしれないです」
—めぐりを感じたり、ありのままの自分に戻れたりする場所として、駒沢公園を挙げていただきましたが、ここは松㟢さんにとってどんな場所ですか?
松㟢:駒沢公園は、前に住んでいた家のいちばん近所にある大きな公園なんです。定期的にランニングをしていた時期があって、当時の自宅から駒沢公園まで行って、2、3周して帰宅するとちょうど10kmで。いまはまったく走っていないですけど、ランニングコースにしていました。あと、ちょうどこのインタビューのお話をいただいて場所を考えていた時に、駒沢公園にいたんです。風が吹いていて、歩いていてとても気持ち良かったので、ここがいいなと思って挙げさせてもらいました。
—駒沢公園は緑豊かで広大な公園ですよね。松㟢さんは自然に触れたいという気持ちが強いのでしょうか?
松㟢:僕、虫が苦手だったり、山を登ったりするのもきつそうだなとか熊怖いなとか思ってしまうので、あんまり自然のまますぎるよりは、駒沢公園みたいな人工的につくられた自然がわりと好きで。自然に触れに行くというよりは、暇を持て余して公園に寄ることがよくあります。たとえば、仕事と仕事の合間が3時間くらい空いちゃった時、ご飯を食べても時間が余るじゃないですか。そういう時に、何もすることが思いつかないので公園に行くって感じです。同世代の仕事仲間たちはそういう空き時間に結構映画を観に行ったりしているんですけど、僕は腰が重いというか、チケットを買って「よし、これから観るか!」っていう気持ちになれなくて。だから、何もしなくてもいいし、何か思いついたらすぐ動ける公園にいるのかもしれないです。
—たしかに公園だと身軽な感じがしますよね。公園では何をしているんですか?
松㟢:座ったり、歩いたり、ベンチに座って落ち葉を見たり、スマホでパズルゲームをやったり。公園だから何をするっていうわけではなくて、駅のベンチでもできるようなことしかしていないです。でも、空気がいいし、ずっといても怪しくないから公園にいます。
—普段からアクティブに外に出るタイプですか?
松㟢:普段は家にいることが多いです。ひたすらオンラインゲームをやって、昼夜逆転して、いつ日が変わったかもわからず、ごはんをいつ食べたかも忘れ、どんどんタバコの箱だけが溜まっていく……みたいな生活を送ってます。だから、家と公園は対局の存在というか、自分のなかでは公園に対して「健康的」ってラベルが貼ってあるんです。だから、あえて公園に行くっていう感じもありますね。
自分とはタイプの違う、パワースポットのような存在の先輩に会いに「巡礼」へ
—公園以外に好きなところはありますか?
松㟢:場所じゃないんですけど、俳優であり、モデルであり、ランナーの新岡潤という先輩がいて。潤さんは僕のパワースポットのような存在なんです。潤さんに会うと元気をもらえます。いま、僕は関西にいることが多いので、最近はあまり会えていないのですが、以前は週1回は必ず会っていました。走っていた時期は、潤さんの家を休憩スポットにしていました。
—潤さんと知り合ったきっかけは?
松㟢:『東京リベンジャーズ』という映画のオーディションを受けに行った時に、会場の門の前からずっと見つめてくる人がいるなと思って。遠くから見ると怖かったので睨まれてるような気になって。「ヤンキーものの映画だと本物がオーディションに来るのか……」と怖くてずっと知らないふりしていたんです。そしたら、どうも僕を前に会った人と勘違いしていたらしくて、「なんで無視すんだよ!」と。偶然僕も潤さんもオーディションに受かって、現場でも一緒にいるようになり、そこからの付き合いです。
—撮影を通して徐々に仲良くなっていったのですか?
松㟢:撮影中に一緒にご飯を食べる機会があって、そこから急激に仲良くなりました。僕はぼやぼやいろいろ考えてしまうタイプなのですが、潤さんはじっくり考えると同時にアクティブに動くし、シンプルに物を言ってくれる人。だから「いま僕に“潤さん”が足りてないんで明日会えませんか?」みたいな感じで連絡して、巡礼のように潤さんのそういうムードをもらいに行っていました。
「進むと止まる、どちらがいいとかもなく、すべてはただの状態だと思っています」
—自分とは少し異なるタイプの方と一緒に過ごしたり、互いを知ったりしていくことで、めぐりが促されそうですね。逆に松㟢さんが滞りを感じるのはどんな時ですか?
松㟢:二日酔いの時ですね。そもそも、普段からめぐるとか滞るとかあんまり考えたことがなくて。生活しているなかで、自分が止まっているか進んでいるかに気づくことはほとんどないです。ただ、たとえば部屋が急にめちゃくちゃ汚くなってるなって気づいた時とかに、はっと「あ、いま何もしてないな、止まってるな」っていう感覚になります。
—止まっていると気づいた時、進むために何かしますか?
松㟢:今日は外出てみるか、みたいに外出たりはしますね。だから公園にも行きますし、隣の駅のカルディに行くか、みたいな……。洒落込んでみるか……みたいな。普段買わない、ちょっと贅沢なトマトソースを買ってみるとか、いつもと違うことをしますね。
—家で過ごすのも好きだし、自分なりの自由な生活リズムがあるなかで、それを一度断ち切っても、外に出ることが必要だと感じますか?
松㟢:必要かどうかで言うと、別に必要ではないと思うんです。僕は滞っているということも別に悪いとは思っていなくて。進むと止まる、どちらがいいとかもなく、すべてはただの状態だと思っています。でも、単純にどちらかの状態にずっといると飽きるじゃないですか。飽きるとつまらないから、ちょっと変えてみるくらいのことなんですよね。好きなゲームもずっとやっていると疲れますし、だるくなってくる。それを改善したいと思うレベルに達したら、ちょっと行動を変えてみています。
—松㟢さんは役者、モデルのほか、コラム執筆、映像制作など、いろいろなかたちでお仕事をされていらっしゃいますが、仕事についても飽きたくないという思いがありますか?
松㟢:実は僕そんなにいろんなことをやっていなくて、やっぱり基本は役者とモデルの仕事をさせていただいています。でも、役者もモデルも行くはずのなかった場所に仕事で行ったり、会うはずのなかった人に会ったりする仕事なので、そこが好きだなと思います。自分の意思には限界があるし、想像の範疇をどうしても超えられないから。たとえば、自分で行ったこともない静岡の郊外に行こうとかってあんまり思いつかないじゃないですか。だけど撮影では行けるし、行ってみたら偶然地元の人と仲良くなって……みたいなことが起こるので、すごく楽しいです。
「『完全に飽きた』という状態になりたくないので、飽きる前にちょっと行動を変えてみます」
—松㟢さんは日本と台湾で二拠点生活をされていましたよね。これまで家にいるのが好きだというお話があったので、アクティブに二拠点生活をされているのが意外だなと感じました。
松㟢:台湾は、とくに何かしようと決めて行ったのではなく、たまたまシェアハウスが一部屋空いていると言われたので行きました。単純に滞在費がかかるなと思ったので日本でバイトしてお金を貯めたりはしましたけど、台湾に行くことに対して強い決意があったわけではないですね。いま思い返せば、やっぱりその当時の生活に飽きていたんだと思います。飽きてきていた時に台湾行きの話があって、行ってみるか、みたいな感じでしたね。
—台湾での生活では何をしている時が楽しかったですか?
松㟢:これが好きだから行っているっていう感じもあまりないのですが、行き始めた当時は何もわからないので街を歩いているだけで楽しかったです。正直、台湾で何をやっているかというと、日本でやっていることとそこまで変わらない気がするんですけど、場所も関わる人も違うから、同じことをしていても展開が変わる気がしています。
—ちなみに台湾でも公園には行くんですか?
松㟢:台湾ではほとんど行っていないんですよね。近くに駒沢公園みたいな場所があったんですけど、街を散策することに時間を使っていました。日本にはずっと住んでいるから、だいたい街のこともわかるじゃないですか。だから公園に行っていたんですけど、台湾の街は僕にとってすべてが新しいので、街の散策がおもしろいなと感じていました。ラジオで聴いたのですが、知らない場所を歩く時、人間の脳ってすごく活性化されるらしいんですよ。
—知らない場所というのはかなり刺激になりますよね。いま行きたい場所や気になっているスポットはありますか?
松㟢:この前ずっとGoogle Mapを見ていて、世界には行きたいところだらけだなと思っていたんです。先祖が亡くなった場所を旅する人の記事を読んで、それで第二次世界大戦の遺跡がある場所に行ってみたいと思いました。それで、南極にあるイギリス領のフォークランド諸島という島やアラスカからロシアに連なるアリューシャン列島にあるキスカ島とか、調べています。本当にいろんなところになるべく行って歩いてみたいですね。
—逆に駒沢公園はすごく見知った場所だと思うのですが、馴染みの場所によく行くのはなぜですか?
松㟢:海外で知らない場所を歩くわくわくとは真逆の感覚で、何もしなくていいし、なんとなく安全な感じがあるからですね。
—いろんな行動や場所を組み合わせて「飽きる」という状態にならないようにしているんですね。
松㟢:そうですね。あと「完全に飽きた」という状態になりたくないので、飽きる前にちょっと行動を変えてみます。さっきの話でいうと、家でずっとゲームをやっていても、なんかうんざりしてきちゃうんですよ。ゲームをするという状態が好きでぬくぬくやっていたはずなのに、どんどんうんざりしてきちゃう。そのうんざりを感じ始めたら、一回外に出てみます。やっぱり同じことをやりすぎると脳が疲労するんでしょうね。だから生活のなかでは、公園もそうですけど、料理もいい気分転換になっていると思います。そんな大きな気分転換ではないですけどね。
—「飽き」のお話をしつつも、料理をされたり、ゴルフやランニングなども経験があったりして多趣味な印象なのですが、凝り性ではあるんですか?
松㟢:いや、飽き性だと思います。ただ、何かに飽きそうな時、新しいことを始めるというよりか、前ハマっていたことに戻ることが多いですね。そうしているうちに、何度も戻るものがあることに気づいたりします。飽きたら一旦置いておいて、いつかまたやろうって思っています。
「やっていること全部がセルフケアなのかもしれない。逆に言うと、セルフケアにならないことをしないようにしています」
—何かを始める時に「やりきらなきゃ」と感じてしまう人も少なくないと思うのですが、一旦置いておくという考え方は気持ちが楽になりそうです。MEGLYについてのお話も聞かせてください。WEB CMにも出演していただいていますが、MEGLYのプロダクトを使用してみていかがですか?
松㟢:乾燥肌なので何かしらつけないといけないけれどスキンケアを習慣化できないタイプなので、MEGLYはすぐに終わるし楽でいいなと思っています。僕はお風呂やシャワーのあとに顔に使っていますが、一緒に使っている彼女は顔だけじゃなくて肩とか身体にも使っていますよ。仕事で数日間家を離れていていまはMEGLYを使えていないので、その良さにあらためて気づかされました。
—スキンケア以外で意識的にしているセルフケアはありますか?
松㟢:お腹が減ったら食べるし、歩きたかったら歩くし、ゲームをしたかったらゲームをするし、映画を観たかったら観るし……「毎日ストレッチをしなきゃ!」みたいなことをどうしてもできなくて、あまりルーティンのようなことをするのが向いていないんですね。セルフケアが強迫観念になってしまったらセルフケアではなくなると思うし、人によってできることとできないことがあると思うんです。たとえば僕はゆっくりお茶を飲むことができないけど、映画だったら何時間でも観ることができる。そう考えると、やっていること全部がセルフケアなのかもしれない。逆に言うと、セルフケアにならないことをしないようにしていますね。
取材・文:飯嶋藍子(sou)
撮影:タケシタトモヒロ
編集:竹中万季(me and you)